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時期外れの超大型台風は、関東圏を無事に通過しました。
荒れ狂う暴風と凄まじい豪雨は少なからず被害をもたらしましたが、
通過の際にずっと停滞していた前線を掻き乱し、雨雲の渦を吹き飛ばしてくれたため、
台風一過には今までずっと続いてきた荒天が嘘のような、雲一つ無い晴天となりました。
さらに、この台風のおかげで気流も変わったのか、週間予報も書き換えられて、
まだまだ雨の予報も多いのですが、今後は太陽の覗く日もあるみたいです。
季節ももう晩秋に近いだけあって、朝晩は相応に冷えますが、
日照が復活すると、昼間はそれなりに暑くなりますね。
あまりの荒天続きと台風対策のために遮光ネットを取り払ってしまったのですが、
この様子だと、もう少しだけ必要になりそうです。
さすがに真夏のような線量はないので、白の一重だけでいいかな、とは思いますけれど。



N. jamban David / Carnivoria EU
今日の天気は曇りでした。
台風の通過直後は雲一つ無かったのですが、凄まじい暴風が残っており、とても外に出せる状況ではなく。
夜には風は凪いできたのですが、同時に雲も出てきちゃいましたねー……。
ただ、今までのような昼間なのに真っ暗になるような分厚い鈍色の雨雲ではなく、
時折雲の切れ間から陽が差すような、そんな薄曇りの天気でした。
気温はあまり上がらなかったので、低地性種は窓際でお留守番です。
高地性種だけを栽培棚に並べて思ったことは、やっぱり広く使えるのは、いいことだなって。
次期までにスペースを広げることの重要性を、改めて実感したのでした。



袋、前回の記事で新芽だった部分ですね。
前回分の記事はこちら
方々で言われている通り、軌道に乗れば成長はかなり早いと思います。
酷い天候不順の中でもこれくらいは育つので、きちんと環境を確保できれば、
本当に交配種の如き成長を見せてくれるのではないでしょうか。
袋の形は前回と変わらず。
ジャンバンの袋というのは判りますが、まだまだ幼い袋ですね。



前回の袋。
時間が経つと本当に汚くなりますね……。
種小名の示す通り、まさに汚い便器状態。
原因は、元々古くなると赤黒い深紅色に染まる個体らしいことに加え、
ネペンテスの袋に溜まった消化液は、大抵さらさらした水であることが多いのですが、
ジャンバンの袋の中に溜まっているのは、トロトロと粘性の高い液体です。
雨や潅水等によってこの内容液が溢れると、袋の周りにこびりついて汚れるみたいです。

ジャンバンの袋は口が大きく底も浅いので、一見すると隙だらけに見えますが、
その外観に反して捕虫能力は非常に高く、様々な昆虫を捕えます。
虫のような小さな生き物が、こんなローション風呂みたいなところに落ちたりしたら、
粘性の関係でまず逃げられないでしょうし……。



次の袋の蕾。
本種は袋が膨らむのも結構早いので、天候が回復すれば、割とすぐに完成しそうです。
ローウィやトランカータ等、完成までに非常に時間の掛かる種類に比べると癒されますね……。



最新の葉っぱと新芽。
順化してしばらくは全然袋を着けてくれなかったのですが、
一度環境に馴染めば、次々にコンスタントに着けてくれそうです。
まだまだ幼い袋なので、これから大きくジャンバンらしくなってくれたら嬉しいです。

草体が長めでステムも細いため、屋外だと風でぶらぶらして安定しなかったので、
用土に竹串を挿して支柱として固定しました。
これで株が安定して、袋も大きくなってくれたらいいですね。



N. jamban BE-3276 / Borneo Exotics
こちらは別の由来のジャンバン。
輸入直後からずっと荒天が続いており、全然成長しませんでした。
大きくならないというよりも、そもそも新芽が出てこず動きもしなかったです。
やっぱり植物にとって、日照は何よりも大事ですね……。



最新の葉に、ようやく袋になりそうな蕾が見えてきたので一安心です。
別個体の経過から、一度袋を着けるくらい安定してくれれば、後は順調っぽいですし。
個体差が出ることを目論んでの二個体導入でしたが、現状だと違いが全然判りませんね……。



N. inermis Gunung Gadut / Wistuba
今回はもうジャンバンだけでいいかなって思ったのですが、
せっかくなので同じスマトラ高地性の固体をひとつ。
ウィスツバ由来のイネルミスです。
順調にリーフジャンプを続けていましたが、害虫に齧られたことに加え、
ここ数ヵ月の天候不順ですっかり燻ってました。



やっと新しい袋が膨らんできました。
導入直後から思っていたことなのですが、葉を一枚着ける早さもさることながら、
袋のサイズも含めて、一枚毎の成長率が半端じゃないです。
スマトラ系は成長が早いとはよく聞きますが、害虫対策が万全で日照もきちんとあれば、
本当に一年ちょっとくらいで成熟してしまいそうな成長の早さです……。
再び袋も着け始め、リーフジャンプもしてるので完全復活!……かと思ったのですが。



新芽には再びスリップスの食み痕が……。
なんなんでしょうね、これ。
生長早いのは嬉しいのですが、何か害虫を誘引する要素でもあるのでしょうか……。
この調子だと、何時になったら大きくなってくれるのやら……。
先が思いやられます。


本当に全然晴れないですね……。
おまけに今の時期には考えられない程に寒いです。
気温としては12月下旬並み、10月の気温としては80年に一度の異常気象だそうです。
さらにおかしなことに、時期外れの超大型台風接近の報もあり……。
せっかくだから、この雨雲の渦を全て吹き飛ばしていってほしいです。



N. attenboroughii BE-3693 / Borneo Exotics
ずっと雨の予報だったのですが、不意に雲の切れ間に当たり、僅か数時間でしたが陽が差しました。
普段は気温10度以下の日が続いていますが、陽が差すと20度近くまで上がるみたいです。
みんなを久々に陽に当てることができました。

画像はいつもおなじみアッテンボロギ。
夏以来ですが、また一回り大きくなりました。



二つの袋。
手前側が新しい袋、奥に見えるのは夏に記事にしたときの袋です。
多少くたびれましたが、3ヶ月経ってもまだまだ現役、長持ちです。
形状としては口がさらに大きくなり、アッテンボロギらしさがより出つつあります。
……が、アッテンボロギのロワーと呼ぶにはまだまだ未熟。
もっとばっちりベル型になってほしいところ、なのですが……。



新しい袋。
蓋が開き始めていますが、前回の袋の半分以下のサイズで開いてしまいました。
原因は明白です、前回の記事以降、8月、9月、10月と、全然晴れなかったですからね……。
明らかに日照不足が大きく響いています。
袋も小さいのですが、成長速度も異常に遅くなっています。
今年の気候は園芸には最悪な感じでしたね……。



こんな劣悪な気候の中でもがんばって新芽を展開する辺り、アッテンボロギは本当に強い子です。
願わくば、前回より小さくはならないでほしいところです……。

日照不足とは別に、リーフスパンが10センチを超えた辺りから展開速度がやや鈍りました。
普通はこのサイズを超えた辺りから成長が加速するはずなのですが……。
こちらに思い当たる要因は、根が詰まってきた、とかでしょうか。
アッテンボロギもラジャの近縁種なら、根はかなり発達するでしょうし。
次期の屋外栽培に間に合うように、今のうちに鉢増ししておこうかなーと思います。
本種は本当に栽培に関する情報が皆無なので、試行錯誤の手探り状態です。
解ってきたこともいろいろありますが、うちでの記録が国内での本種栽培の礎になってくれたら嬉しいです。

本記事の画像を撮り終える頃には陽は陰り始め、夕刻には再び冷たい雨が降り出しました。
予報を見れば、この先もずっと雨。
この混迷の気候は、いつまで続くのでしょうか。

10月に入って夜温も下がりつつあります。
最近は15度以下になることも珍しくなくなってきたので、予報を見つつ低地性の子だけ取り込んでますが、
どうしても気温の上がり切らない早朝に出しつつ、気温の下がり切った夜間に取り込む形になります。
もう少し時間を取れたらいいのですが、難しいところです……。



N. lowii Mt.mulu Thomas Alt clone / Y's Exotics
導入から1年近く経ちましたので、定期報告です。
現在リーフスパン5センチ強といったところ。
うちに来た頃は2センチあるかどうかといった感じだったので、1年で倍以上に成長してくれました。
葉の展開はとても遅く、数える程度しかないのですが、1枚出すごとに着実に大きくなります。



袋。
まだとても小さく、形質的な特徴はまだまだですが、袋の硬さだけは立派にローウィしてます。
リップのストライプも、小さいながら徐々にはっきりしてきました。
少しずつ特徴も出つつあるので、もう少し観察しやすいサイズになってくれたら……。
画像だとストライプ見えるけど、肉眼だとほとんど見えないですし。



前回の葉が伸び切って、新しい袋を膨らませ始めました。
たぶん完成は来年でしょうね……。
これから日照も短くなって、気温も下がってきますので、
おそらくは2月入ったくらいになるんじゃないかなと思います。



葉が伸び切ったので、次の新芽も顔を出しました。
この芽がまた展開して、袋を着けるのは……、
……そんな遠い未来の話はやめよう。
成長は非常に遅いですが、こんな感じでローウィはのんびりながらも順調です。



N. rajah Thomas Alt clone / Y's Exotics
ローウィと同時に導入したラジャです。
こちらも現在の直径は5センチ程度。
やっぱり導入時の倍以上の大きさになっています。
ローウィに比べると葉の展開数は多いですが、1枚当たりの成長率は控えめです。
それにしても、水分多めの管理をしたとはいえ、汚い鉢ですね……。



袋はやっぱりまだまだ小さいですが、ミニマムサイズながらも斜陽に照らされるととても綺麗です。
別のサイトでも言われていましたが、朝陽や夕陽に照らされた植物は綺麗に映りますね。
袋の着き方も含め、特徴はまだまだ出てない感じ。
ラグビーボールとは言いませんが、ラジャらしい袋になるのはいつになることやら……。



苔に埋もれててわかりにくいですが、次の袋。
葉の展開や袋が膨らむ速度は、ローウィと比べれば早いです。
うちのアッテンボロギが導入時にこれくらいのサイズだったので、
来年にはそこそこ見られるようになるかな。
ラジャは根詰まりする前に植え替えたいけど、素焼きの平鉢って全然見ないんですよね……。



次の新芽も伸びてきました。
近縁種だけあって、新芽の伸び方はアッテンボロギと非常によく似ています。
1年経って培養時のホルモンも抜けたのか、無秩序に出てくる脇芽も最近見なくなりました。
超極小苗からのスタートなので年数は掛かりそうですが、
これからどう育っていくかに期待が高まります。


機嫌の悪い日は文章は書かないほうがいいし、Twitter等も触らないようにしているのですが、
ブログの方はせっかく続けている習慣なので、出来るだけ途切れさせたくないです。
一度サボったら、ずるずると書かなくなる気がしますし。
そうやって更新の途切れた放置ブログ、よく見ますし。



N. xHookeriana / Malesiana Tropicals
フーケリアナはラフレシアナとアンプラリアの自然交雑種。
両親共に膨大なフォームやタイプが存在するため、その組み合わせも星の数ほどあります。
フーケリアナというのは、あくまで自然交雑種につけられた名前なので、
栽培下で人工交配された個体の場合は、通例通りにN. rafflesiana x ampullariaと表記します。
マレーシアのナーセリーから輸入した個体ですが、交雑種なだけあってとても丈夫です。
成長も早く、袋も鈴生りにたくさんぶら下げてくれます。



袋の形は、ちょうどラフレシアナとアンプラリアの中間くらい。
サイズは鶏卵くらいの大きさです。
両親共に低地性の中では非常に人気の種類ですが、その両方の形質を受け継いでいます。
どちらも原種でも栽培は簡単な種類ですが、フーケリアナはもっと簡単です。
アンプラリアはともかく、ラフレシアナは微妙に癖がありますし……。
産地にもよるのかもですけれど。



次の袋。
交雑種ですが両親共に低地性なので、原種ほどではないですが寒さは苦手です。
これから冷え込んできますが、温室内で膨らませてくれたら嬉しいです。
ラフレシアナの性質からか、蔓は長めに伸びて袋を引き摺るので吊り鉢管理にしました。
本当は両親共に完全な地生種なので吊られるのは好きではないと思うのですが、
そこは交雑種故の強さで耐えてほしいところです。

ちなみにこの吊り金具は針金を曲げて自作しました。
本物に比べるとスマートさが足りないですが、あると結構便利です。



次の新芽。
出たばかりの新芽のひょろひょろ加減はアンプラリア譲りですね。
アンプラリアもそうですが、毎回サイズダウンしそうな新芽ばかり出しますが、
この状態から普通にリーフジャンプしたりするので、よくわからないです。

いろんなタイプのアンプラリアとかコレクション性が高くて魅力的なのですが、
低地性は冬のランニングコストがえげつないので手を広げにくいです。
高地性なら最低限の加温でも問題は起きにくいですし、
夏場も極一部の超高地性種を除けば、そもそも冷房も必要ないですし。


忙しいし時間は無いし、やることは山積みです。
文句の山ほどもありますが、ここに書くのもアレなので、ぐっと呑み込みます。



N. xMiranda
最近よく後ろに写って存在感を主張している吊り鉢。
やたら大きく成長してしまい、この子が背景に映り込むと遠近感が狂います。
元々は場末のホームセンターで枯れかけていたのを憐憫からお迎えしたのですが、
やっぱり一般に出回るような普及種は強いですね……。



現在リーフスパンは60センチ前後、袋のサイズは25センチくらいです。
蔓がとても長い上に袋自体の大きさもあるので、吊り鉢じゃないと管理できないです。
宙ぶらりんで安定しないと袋が大きくならない種類も多いですが、
この子は宙吊りが好きそうな袋の形をしているので、たぶん問題ないです。



次の袋、完成直前です。
この子が植わっているのは5号鉢なのですが、駄温なのでそれ自体の重さに加え、
草体や鈴生りになった袋の重量もあり、とても重い鉢になってしまいました。
吊るのは少し……というかかなり辛くなりつつあります。
とはいっても、この袋で棚置きは無理でしょ。
もう一回り大きな鉢に植え替えて、鉢スタンドで管理した方がいいかもです。
この子は冬も温室入れなくて平気な強い子ですし。



その次の袋。
複数の袋を同時進行で膨らませることはできないらしく、
一つずつ着実に完成させてゆくタイプのようです。
前の袋はほぼ完成なので、これから膨らんでくると思います。
新芽の方とか、待機中の袋の蕾はたくさんあるので、いい環境で長く育てれば、
たくさんの袋がぶらぶらと鈴生りになってくれるタイプです。
袋自体もかなり長持ちしますし。

一般店にも出回り、非常に安価で栽培も簡単なことから、
マニアには見向きもされないことの多い品種ですが、ちゃんと育ててみると結構楽しいです。
……まあ、一番の理由は栽培面積食いまくりで邪魔になるってことなのでしょうけれど。
ダイエリアナと同じタイプですね……。


プロフィール
Author:左沢ねあ
Illustration:森野久真


コンクリートジャングル暮らしの現代エルフ、食虫植物をはじめ、ちょっと変わった植物を育ててます✨

毎週水曜日、日曜日の二回更新されます。
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