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2月ももう終わりですが、暖かくなるにはまだ少し掛かりそうですね。
吹く風は冷たい北風なのです。



N. inermis Gunung Gadut / Wistuba
屋外栽培だと害虫に齧られてばかりでしたが、屋内で害虫の心配が無いと安心ですね。
調子としては好調なようで、屋外で着けていた袋は枯れましたが、
夜温を保つようにしてからは一気に二つの袋を膨らませています。
これ、綺麗に育てるなら害虫の心配のないワーディアンケースで育てた方がいいんじゃないかなって。

 

絹さやみたいな新しい袋の蕾、後ろでももう一つが同時進行で膨らんでいます。
調子はよさそうなのですが、下葉の枯れた茎の部分が長く伸び上がってバランスが悪いので、
4号鉢に鉢増ししつつ、茎の部分を埋め戻そうかと思います。
イネルミスは葉のサイズに対して袋が大きいので、見栄えがいいですね。
特徴が出るのは上位袋からなので、もう少し掛かりそうです。



頂芽の部分もすごく調子がよさそう。
葉が開く前なのに、既に袋を膨らませ始めています。
この葉にも、いい袋が着いてくれそうですねー。

ジャンバンもそうでしたが、スマトラ高山系はみんな、
幼苗のうちから支柱を立てた方がよさそうな草体をしています。

最近ちょっと無理をしすぎた所為か、体調が最悪です。
今入院したりしたら、仕事も栽培品も全部台無しなので、
身体がなんとか持ってくれたらいいのですけれど……。



N. jamban David / Carnivoria EU
みんな大好き最近流行りの小型ネペンテス、ジャンバン。
私の体調とは裏腹に絶好調です。
夜温を保つようになってから、さらに成長が加速しました。
本当にもう交配種のような強さです。



最新の袋。
ジャンバンらしさはありますが、まだまだジャンバンの下位袋というには未熟な形。
輸入してから初めて作った袋が先日枯れたのですが、
繊細そうな見た目に反して半年以上長持ちします。
ただ、蔓が細く、草体も細く伸び上がるため、強い風には弱そうです。
支柱は欠かせないですね……。



待機中の次の袋。
ほぼ完成状態なので、数日で蓋が開くと思います。
前回の袋に比べると丸みが強く、下部の細さも際立ってきたため、
少しずつジャンバンらしさが出てきたみたいです。



さらに次に待機している最新の蕾。
この成長速度なら、きっとすぐに完成するのでしょうね。
ローウィ辺りの成長激遅な種類にも見習ってほしいです。
蕾のうちから袋の特徴が出ているのも面白いですよね。



頂芽もぐいぐい伸びていい感じです。
中にはさらに次の芽も見えてます。
草体が細長いので既に徒長しているようにも見えますが、
まだまだ未熟なので、今年中に大きな葉を出させるようにして、
来年くらいには上位袋を狙っていきたいところです。



N. jamban BE-3276 / Borneo Exotics
問題児だったBEのジャンバンの方も、夜温を保つようにしてから成長が軌道に乗ってきました。
本来は赤い袋になるはずでしたが、環境のせいか黄色い袋です。
ただ、これはほぼ完成状態のまま止まっていた袋で、
夜温を保つようにしてから作り始めたわけではないです。



ですが、先の袋が完成すると同時に、次の袋をすごい早さで作り始めました。
導入してからずっと愚図ついてましたが、調子が戻ればやっぱりジャンバンらしい強さを持ってます。
この子も今年の夏は、一気に大きくしたいところです。
奇抜なデザインの袋とは裏腹に、とても丈夫で強健な原種なのです。

……あんまり長文書く元気がなかったので画像多くして誤魔化してますけれど、
正直これくらいの方が読みやすいんじゃないかなって……。

今日も時間がありませんので、手短に書いていきます。



春も近付いて陽の照射角度も変わり、奥まった場所に置いた個体には全く陽が当たらなくなっていたため、
昼間にはこうして窓際に並べて、夕方に高地性も含めて、ほとんどの種類を温室に取り込んでいます。
効果は覿面で、陽の当っていなかったアンプラリアはメキメキと新芽を伸ばして新しい袋の準備を始め、
低温障害こそ起こしてはいなかったものの、代謝が鈍り成長の止まっていた高地性種も活動を再開しました。
高地性種は自生地の環境的に、一時的にかなりの低温にまで耐えられますが、
やっぱりそんな環境ではまともな成長、ましてや新しく袋を着けさせるのは難しそうです。
うちでは高地性は最低限の加温で凌いでいましたが、育てるならちゃんと大きく育ってほしいですし。
高地性種の夜温の重要性は、去年もアッテンボロギで学んだはずだったんですけどねー……。

さて、温室に取り込んでいるのは高地性種の一部と書きましたが、
温室に取り込んでない子が居るのも事実。
今回紹介するのは、夜温10度を下回るような環境でも平気で次々袋を着けるような子です。



N. aristolochioides x ventricosa BE-3447 / Borneo Exotics
冬ネペン代表、寒いの大好きアリストリコーサ。
……別に寒いのが好きな訳ではなく、平気なだけなのですが。
この子は本当に一年中絶好調ですしね……。

先月植え替えをしてから、本当に絶好調です。
やっぱり鉢が狭かったのと、用土が傷んでいたので本調子じゃなかったみたいですね。
今着いているのは元々あった袋ですが……。



植え替え以降、複数の袋を一気に膨らませ始めました。
この袋は蓋も開きかけていて、明日か明後日には完成すると思います。
複数の袋を同時進行で作っているので、一つ一つは小さくなると思ったのですが、
そんなことはなく、全ての袋が今までの1.5倍くらいあります。



現在膨らみかけている最新の蕾。
この段階で、今までの袋と同等くらいの大きさなのですが、
まだまだ未熟でこれからどんどん大きくなりそうです。
片親のベントリコーサも寒さに強いことで知られていますが、
もう片親のアリストロキオイデスの自生地は、夜温が平気で10度以下になったりします。
耐寒性の強い種同士の交配種なので、寒さには極端に強いみたいです。
その癖夏の暑さにも平気ですし、どれだけ強いんですかこの交配種は……。
流通量はそれほど多くはないですが、業者が本気で増やしたら、
ホームセンターに並べられるレベルの強さだと思います。
袋もすごい綺麗ですしねー。



N. xVentrata
こちらは本当にホームセンターに並べられるようになった種類。
よく雑草と揶揄されますが、本当にそんな感じの強靭な生命力です。
この寒い部屋の中、ぽこぽことよく袋を着けてくれています。
狭い鉢に閉じ込めているのでこの程度ですが、
大鉢に植え替えたりしたら、一気に成長が爆発すると思います。
それはそれで面白そうですが、ちょっと収拾がつかなくなりそうです……。

お仕事が修羅場ってるので、今日のところは簡潔に。
そもそも2月初めに締め切りの仕事を1月末に持ってくるのはどうかと思いますよ?
その内容でゴーサインを出す幹部もそもそも……。

……あんまり言うと森野は粛清されてしまいますので、この辺りで。



N.sibuyanensis AW / Wistuba
シブヤンは由来違いでいろいろうちに居ますが、
意外にも一番袋をよく着けてくれるのは、弱いと評判のウィスツバ由来です。
もっとも、このナーセリーの苗が弱いと言われる所以は送られてくる苗の状態にあり、
しっかり順化させて成長を軌道に乗せてしまえれば、あとは形質としては弱くないみたいです。
……その順化が一苦労なのですけれどね、ウィスツバは。



新しい袋が開きました。
去年の屋外で出来た袋とは、色が全然違います。
前回の袋は赤紫の斑模様が密に入った毒々しい袋だったのですが。
ただ、シブヤンは無地の白系の袋もかなり綺麗ですし、これはこれでありかも。
今は寒くて成長も緩慢ですが、春以降にどっちのタイプの袋をよく着けるのか確かめてみたいです。

……それにしても、葉色が薄いですね。
他のシブヤンが一切袋を着けない冬の低光量でも着袋する辺り、
どうやら元々かなりの低光量で維持管理されていたのではないかと。
おそらくは育成燈等の環境下でも生き残れるような個体が、
クローンの元個体として選ばれたのだと思います。



N. sibuyanensis (d) / Exotica Plants
うちの問題児シブヤン。
先月植え替えを敢行して、その後の様子です。
養生のために温室管理にしたため、夜温が保てているおかげか、
温室の外で管理されている他のシブヤンに比べると、新芽の伸びがいいです。
ベントリ近縁種なので低温にはかなりの耐性がありますが、
海外では低地性として扱われているだけあって、成長にはやっぱりある程度の温度が必要みたいです。
低地性種の王、メリリアナに近しい種類ですしね……。



やっぱり昼間は窓際でたっぷり陽を浴びさせて、夜には温室に取り込んで夜温を保つ、
という管理方法が、うちの屋内栽培だと一番成績がいいみたいです。
ずっと窓際だと、夜温が低くて成長が芳しくないですし、
逆にずっと温室だと日照不足気味な感じで、それはそれでよくなさそうです。
やっぱり、きちんと手間を掛けて世話してあげたほうが、よく育ってくれます。
今年こそ、この子の袋をうちで見てみたいところです。

週が明けた辺りから寒波もようやく和らいで、気温も上がるようになってきました。
……とはいっても、最高気温も10度には届かない感じですけれど。
けれど気温が上がったため、雪もやっと解け始めました。
ただ、明日からは、また雪の予報なのですが……。

それはさておいて、今日見える月は、特別な月らしいです。
その内容はといえば、年に一度起きる地球と月の最接近によるスーパームーン。
4年に一度起きる、1ヶ月の間に2回目の満月が昇るブルームーン。
およそ3年周期で起こる皆既月食により、月が真っ赤に染まるブラッドムーン。
それらが全て、一度に起きるのだそうです、その名もスーパーブルー・ブラッドムーン。
これらの現象の周期が全て重なるのは、およそ150年に一度の出来事だそうです。
おそらくは一生に一度の出来事、ちょっと楽しみです。



N. lowii mulu / Y's Exotics
一昨年の秋に導入した超極小苗のムル産ローウィー。
ようやくリーフスパン5センチといったところです。
元々は2センチ足らずの苗でしたので、一応は倍以上に育っています。
それでもまだまだ小さいですけれど……。
根元の古い枯れ葉を見れば、どれくらい大きくなったのか成長具合が分かると思います。



古い袋が枯れ始めました。
かなり長持ちはしたのですが、今の段階でこの袋が枯れたら、生きてる袋残らなくないです……?
ここ数日暖房はしていたものの、室温も極端に下がってしまったのも一因かもですねー。
あとは、新しい袋の完成するまでが、異様に長すぎることも。
葉が出てから袋になるまで、余裕で3ヶ月以上掛かりますからね……。
葉が展開するのは、1ヶ月半くらいなのですが。
感覚が麻痺してますが、十分すぎるほど遅いです。



次の袋、次第に大きくはなっていますが、まだまだ準備が出来ているとは言い難い状況。
この感じだと、袋になるのは桜の季節に間に合えばいいな……というところ。
現在4ミリ程度、動かざることローウィの如し、です。



最新の葉っぱ。
現状で他の葉と同じくらいのサイズですが、もう少し大きくなりそうです。
株は小さいものの、葉は厚く硬く、しっかりしています。
つやつやとワックスの掛かったような質感に、細かな産毛も綺麗ですね。
次の新芽は……まだ見えませんね。
見えてくるのは、この葉が完全に伸び切ってからでしょうか。
この葉の先端の蔓が袋になるのは、おそらく低地性種も屋外栽培に完全移行した後。
梅雨明けの夏本番くらいになるんじゃないかなって思います。
なんて気の長い話なのでしょう……。
今年の秋くらいには、成長が軌道に乗るといいのですけれど……。

………
……


そんな感じで、ローウィを超極小苗から1年ちょっと育ててみましたが、
今のところの感想は、成長というより動きそのものが非常に遅いと思います。
ただ、うちで育てているのは、このムル産の一個体だけ。
このクローンは上位袋が赤くなる個体群とされていますが、
同時に特に成長が遅い傾向があると、どこかで読んだ覚えがあります。
それなら他の産地の個体なら、どのように成長するのかが気になります。
ローウィは産地によって上位袋の形態が大きく異なるみたいですし……。
……ので、いくつかの産地のローウィを並べて育ててみたいと思います。
入手の当てがあるわけでもないのですが、とりあえずは入手するのが目標ということで。
とりあえずはトラスマディ産辺りの個体を探してみようかと思います。

プロフィール
Author:左沢ねあ
Illustration:森野久真


コンクリートジャングル暮らしの現代エルフ、食虫植物をはじめ、ちょっと変わった植物を育ててます✨

毎週水曜日、日曜日の二回更新されます。
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